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認知症の相続人がいるケースの遺産分割

認知症と遺産分割問題

相続人の中に認知症の方がいる場合には、どのような事に気を付けるべきでしょうか。

現在、我が国における認知症患者の数は増加を続ける一方です。

この認知症と遺産相続についてどういった関係があり、どんな問題が生じ得るのでしょうか。(関連記事:認知症の相続人がいる場合の相続不動産売却

下記で詳しく説明していきます。

認知症の相続人は遺産分割に参加できない?!

遺産分割協議は、相続人全員の参加、合意が必要です。この場合の合意とは、意思能力がある相続人による意思表示が必要となります。

しかし、認知症で意思能力のない相続人は法律行為を自らする事ができず、遺産分割協議に参加する事ができません。例え、遺産分割協議に参加したとしても、その協議自体は無効となります。

それでは、認知症等によってい判断能力を失った相続人がいる場合には、絶対に遺産分割をすることができないのでしょうか。

実は、法定後見といった制度が存在します。

法定後見制度とは

認知症などにより、判断能力が不十分な人に代わって、法律行為などをおこなう制度です。
法定後見制度には、判断能力のレベルにより以下の3つのパターンがあります。

(1)被後見人 :精神上の障害により事理を弁解する能力を欠く常況にある者
(2)被保佐人 :精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者
(3)被補助人 :精神所の障害により事理を弁識する能力が不十分である者

また、上記の被後見人などに代わって行為をおこなう者を、上から順に成年後見人、保佐人、補助人とそれぞれ呼びます。

認知症の相続人がいる場合には、法定後見制度を利用するのが一般的です。法定後見人の選任手続きは、家庭裁判所への申し立てが必要となりますが、申立てが出来るのは、本人、配偶者、4親等内の親族に限られます。ただし、成年後見人は通常、親族がなる場合が多いですが、司法書士、弁護士、行政書士などの専門家がなるケースもあります。

申立てから家庭裁判所の許可が下りるまでにはある程度の時間も費用も掛かりますので、親族の方で認知症を患っている方がいる場合などは、専門家へのご相談を早いうちからするのをお勧めいたします。

(関連外部サイト:裁判所HP「後見サイト」

法定後見人を選任した後は

認知症などにより判断能力が不十分な相続人に代わって法定後見人を選任した後は、その法定後見人が本人を代理して遺産分割協議に参加する事が可能です。

法定後見人を選任する際の注意点ですが、遺産分割協議などの相続が終了すると同時に法定後見人の任期が終わるわけではありません。
法定後見人は被後見人の判断能力が回復した場合や、亡くなるまで任期は続きます。つまり、法定後見制度を利用するのであれば、その人を生涯後見人として見守り続ける覚悟が必要です。

遺産分割ではなく法定後見で遺産を分け合う

認知症を患っている方が相続人の中にいる場合、遺産分割協議に参加する事が出来ません。
先に述べたように、認知症を患っている相続人に法定後見人を選任するには時間が掛かります。その間、遺産分割協議を進める事はできません。そこで分割協議を行わずに、法定相続分で分け合う方法があります。
民法では親族(法定相続人)の相続分が決められています。(民法第900条)

配偶者と子の場合   :配偶者2分の1、子2分の1
配偶者と父母の場合  :配偶者3分の2、父母3分の1
配偶者と兄弟姉妹の場合:配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

上記の様に、すでに民法で決められている法定相続分での遺産相続の場合は、例え相続人の中に認知症を患っている方がいる場合でも、法定後見人を選任する必要はありません。
遺産が少額の場合などは、そもそも遺産分割協議をする必要性があまりありませんので、法定相続分を相続人で分け合うのもひとつの方法かと思います。
(関連記事:法定相続分での相続登記 各相続人の法定相続分の計算方法

遺言を残しておくのも有効な手段

相続人の中に認知症を患っている方がいる場合には、あらかじめ遺言書を残しておくのも良いでしょう。
遺言は、遺言者の意思表示ですので相続財産を受ける側(相続人)の意思能力は特別問題にはなりません。
ですので、遺言者は生前、しっかりと相続人に遺産相続をさせるべく、遺言書を残しておけば問題とはなりません。早いうちに準備をしておけば、いざ相続が発生した際にも慌てたり、揉めるケースを避ける事ができるかと思います。
また、遺言を残しておく場合には、公正証書をお勧めします。特に死亡時点で認知症となっている場合には遺言作成時点での意思能力の問題が生じえるからです。
遺言作成時に意思能力があったとしても自筆証書の場合には、「本当に遺言作成時に意思能力があったのか?」という疑問を持つ相続人が出てくる可能性があるので、きちんとした公証人立ち会いのもと作成する公正証書の方が後々意思能力の問題になりにくいのは間違いありませんから、遺言を書くなら絶対に公正証書にするべきです。(関連記事:
公正証書遺言とは 自筆証書遺言と公正証書遺言の比較

認知症の相続人がいる場合は、相談先によって回答が異なるケースが多いです。
中には成年後見を強く勧める専門家が多いのが印象として強いですが(専門家が成年後見人に就任するような事務所の場合)、当事務所としては法定相続を主として検討し、法定相続を第一の方法として考えていきますので、他の事務所で断られてしまったという方も一度当事務所までご相談に来ていただければと思います。

認知症の相続人がいるケースまとめ

このように、認知症の相続人がいる場合には相続手続き上で大きな問題が生じえます。
日本では、認知症患者数がどんどん増加していますから、今後もこの問題が増え続けるものと思われます。
私個人の見解としては、「認知症の相続人がいることで遺産分割ができなくなることがある」という事実が広く知れ渡っていないことに問題があると思います。
おそらくですが、本ページに辿り着いた皆さんや、認知症と遺産分割のことをインターネットで調べている方々は、相続が発生した後に困って調べている人だと思いますが、それだと遅いのです。

一番の対策としては、生前の元気な時(意思能力がはっきりしている)から、相続の問題に目を向けて対策を取ることが一番なんです。

公正証書遺言をのこしておくのがとても有用なのですが、それを知らずに相続が開始してしまっていることが非常に多いです。
もっと、認知症と相続の問題を多くの人に知ってもらい、生前の相続対策の有用性を理解してほしいと願います。

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・司法書士よしだ法務事務所 代表
​・行政書士法人よしだ法務事務所 代表
・NPO法人よこはま相続センター 理事
・一般社団法人相続の窓口 事務長

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数

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