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相続した土地の売却に必要な測量について

なぜ測量が必要なのか

相続した土地を売却するために、一般的には、境界確定のための測量が必要になります。
これを「土地境界確定測量」といいます。

土地境界確定測量とは、土地および境界などについて調査を行い、それを基に測量図を作成する作業です。
現地において、測量者、土地の権利者などの立会いのもとで、境界の確認を行い、境界点に境界杭を設置して土地の境界を確定します。そして、境界確認書という書類を交わして完了となります。

土地売却時に必ず測量をしなければいけないのか

土地売却の際の土地境界確定測量は基本的な考え方とすると売主がしなければいけないものです。

一昔前においては、登記簿にある公簿面積を基準とした売買で問題ありませんでした。しかし、近年においては土地の価格高騰などの影響により、買主側から土地の境界を確定した上での実測面積を求められるケースが増え、現在の実務上においては、土地境界確定測量を経てからの売買が一般的になりました。

特にどのような場合に買主側から測量を求められるかというと、「堀やフェンスがない」、「境界杭がない」などの土地の境界が不明確な場合、また、地価が高い土地の場合では、価格を算出するうえで正確な面積を求められるために測量を求められるケースは多くなります。

※公簿面積とは

登記簿に表記されている土地の広さの基準。実測されたものではないが、土地売買取引においては十分な情報として、実際、取引の基準として用いられていました。

測量には隣地所有者の協力が必要不可欠

土地境界確定測量は、当然に隣接土地の所有者の協力が必要不可欠になってきます。
中には、測量に協力していただけない方や、その土地において相続争いをしている方などがいる場合もあり、測量をするにあたっては時間を要する場合もあるようです。(どうしても測量に協力していただけない場合には救済制度として筆界特定制度のようなものがあります。)

特に問題を抱えていない調査の場合でも、1ヶ月~半年ほどの期間がかかりますので、土地売却を検討されている場合には、早いうちに土地境界確定測量は行っておくべきでしょう。この測量は、土地家屋調査士が行います。一般的には、土地売却を仲介する不動産業者が紹介をしてくれるでしょう。 

※筆界特定制度とは

救済制度として筆界特定制度というものがあります。これは、測量や調査などを行ったうえで、元々あった筆界を「筆界特定登記官」が明らかにする制度になります。公的な判断で行うため、申請からおよそ1年弱の期間は要します。(筆界とは、土地が登記された際、その土地の範囲を区画するものとして定められた線のことです。所有者同士で勝手に変更することはできません。)これで確定した筆界でも不満がある場合には、筆界確定訴訟で争うことになります。こちらは裁判になりますので、確定までおよそ2年程度の期間を要すると言われています。

※土地家屋調査士とは

不動産の表示に関する登記につき、必要な土地又は家屋に関する調査及び測量(土地境界確定測量も含まれます。)を行なったり、登記の申請手続きについて代理を行ったりします。

測量は売主側の負担で行う

境界杭を見つける

測量にかかる費用は売主側が負担するのが一般的となっています。
一般的な土地の場合、相場としては30万円~50万円程になっています。ただし、場合によっては費用が高額になってしまうケースがあります。

高額になってしまうケースとして、土地の形状が非常に複雑な場合、交通手段が限られる僻地にある場合、隣接土地の所有者とトラブルになっている場合、隣接土地が国有地や私有地などの場合が挙げられます。

特に、隣接土地が国有地や私有地の場合においては、一般的な測量とは異なり、国が定めた調査工程が追加されるために、調査ができる測量士も限られてきます。そうなると、時間も手間もかかりますので、費用が高額になってしまいます。(関連記事:相続不動産の売却にかかる経費まとめ

測量をせず境界不明示のまま売却した場合のリスク

測量は決して義務ではないと説明しましたが、仮に測量をせずに境界不明示のまま、土地売却をした場合はどうなるのでしょうか。

もっとも考えられるリスクは、「隣接土地所有者との境界トラブル」です。
一見すると、隣の家とは堀で区切られているから大丈夫と思っている方が多いかもしれませんが、先祖代々の古い土地などの場合では、境界線があいまいで実は確定していなかったという場合があります。また、登記簿に記載されている境界線が実際の境界線とは異なっていたという事例は過去にたくさん存在します。
間違った境界線で土地売却を行い、その後に買主が、隣接土地所有者と境界トラブルになってしまうことは十分あり得ますし、そもそも間違った境界線をもとに算定した売却価格で取引を行っていたこと自体が問題にもなります。
このように、境界不明示のまま売りに出したところで、発生するリスクを考えると、その売値は測量をした場合と比べて落ちることは簡単に想像がつくでしょう。いわば瑕疵付きの土地となってしまうからです。
(関連記事:相続不動産の売却と瑕疵担保責任
その後のリスクや損失を考えると、土地境界確定測量は必ず行っておくべきといえるでしょう。

隣地所有者の協力が得られず境界不明示のまま土地を売却してしまうと

土地を売却する場合に測量が必要な理由について、ここまでの解説でご理解いただけたかと思いますが、もし仮に隣地所有者が立ち会いに応じず、境界のことで異議を言ってきた場合にはどうすればいいのでしょうか。
今まで仲良くしていた隣地の方が、土地の境界のことで急に人が変わったように怒り出す話は少なからずあります。

当然、お隣さんが境界線について主張してきた場合には、境界を確定することができませんので、境界不明示のままとなってしまいます。
境界が確定できないまま、公簿売買で売却することができないわけではありませんが、それだと買主側は境界線が定まらない状態の土地を購入しなければいけなくなります。更に、心理的なものとして隣地所有者と境界のことで揉めている土地を欲しがる方なんてまずいませんから、買い手も一気に狭まってしまいます。

過去に挨拶をしたのに無視をされたとか、大音量で音楽を聞いていてうるさかったとか、庭の木が越境しているとか、日常的な苛立ちから測量の協力をしてくれないケースが意外にも多いです。中には境界確定時に嫌がらせとも取れるような文句を言ってくる隣地の方がいらっしゃるのも事実です。

境界で揉めてしまったら、その土地の価格は下落してしまうことになりますので、隣地の方とは普段から円満な関係を築いておきたいものです。

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この記事の監修者

司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所 代表 吉田隼哉

開業当初より、相続の分野を専門として業務を行う。
得意分野は「不動産を含む相続手続き」。テレビ「NHKクローズアップ現代」や雑誌プレジデント・AERA等の執筆、メディア実績多数。情報番組での空き家問題の取材実績あり。


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代表司法書士プロフィール

司法書士・行政書士 吉田隼哉

・司法書士よしだ法務事務所 代表
​・行政書士法人よしだ法務事務所 代表
・NPO法人よこはま相続センター 理事
・一般社団法人相続の窓口 事務長

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数

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