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相続登記をしないまま単独相続人が死亡したら

中間相続人が単独の場合の登記

不動産を所有する人が死亡した場合、被相続人から相続人への名義変更をしなければいけません。これは相続人が1人である場合(単独相続人)も同様です。
しかし、不動産を承継した相続人が相続登記をすることなく死亡してしまったら登記手続きはどういった順にすればいいのでしょうか。

ここでは、数次相続が発生した場合の相続登記について説明します。

権利移転の経緯を公示する目的である登記は原則中間省略を許さない

不動産登記の制度は、その不動産がどういったプロセスを経て現在の所有者に移転してきたのかがわかるように過去から現在までの権利移転の情報を公示をする目的があります。
つまり、不動産を所有する甲さんが死亡して乙さんがその不動産を相続し、さらに乙さんが死亡して丙さんがその不動産を相続した場合には、甲から現在の乙まで飛ばすような中間省略登記をすることは認められません。本来の登記制度を考えれば「甲⇒乙⇒丙」という登記を順番に申請しなければいけないことになります。

しかし、これはあくまで原則的な考えです。例外的に要件を満たした場合には、甲から丙まで1回の登記で名義変更をすることができることがあります。
まずはこの2つの登記先例を見てください。

登記先例1(中間が単独相続人)
所有権の登記名義人であるAが死亡し、Bがその相続人となったが、相続登記を申請しないで死亡し、Cがその相続人となった場合は、Bのための相続登記を要せず、直接に、Cにおいて相続登記を申請することができる。(明治33年3月7日民刑第260号)

登記先例2(中間が複数相続人)
Aが死亡し、B及びCがその共同相続人となったが、相続登記を申請しないで、さらに、DがBの、EがCの各共同相続人となった場合は、まず、AからB及びCへの相続登記を申請し、次に、それぞれ、D及びEのために相続登記(合計3件の登記)を申請する。(昭和30年12月16日民甲第2670号)

2つの登記先例を見比べてみると、上の方が中間の相続人がBのみであるのに対し、下の方は中間の相続人がBとCの2人です。そして、上の先例を見ていただくと「Bのための相続登記を要せず」と書かれておりますが、下の先例では、中間の相続登記が必要だと書いてあるのがわかると思います。

つまり、この2つの登記先例が見せて何を言いたいのかというと、中間の相続人が「単独」の場合には、例外的に中間の相続登記を省略して、現在の相続人へ名義変更をすることができるのです。

登記先例の意味についてはこちらの記事でご確認ください。≫登記先例(とうきせんれい)とは

具体的なケースで考えてみましょう

中間省略ができれば登記が1回で済みますので、登記手続きの手間も減らせますし、何よりも登録免許税が1回分浮かすことができます(中間の相続登記を減る場合には2回分の登録免許税が発生)。
中間の相続登記を省略できた方がいいに決まっていますので、ここで具体的なケースをあげて解説していきます。

不動産を所有する父Aが死亡(平成25年1月1日死亡)し、その相続人が長男Bだけである場合、長男Bが相続登記を申請する前に死亡(平成30年2月3日死亡)したため、長男Bの相続人である孫Cが当該不動産を相続した。

このケースで考えると、原則的な考え方でいえば、死亡したAからB名義に変更する相続登記を申請し、その後にBからCへの相続登記を申請することになりますので、合計2回の相続登記が必要になります。
しかし、中間の相続人が1人の場合なので前述した登記先例
(明治33年3月7日民刑第260号)を使うことで、Aから孫Cまで1発の相続登記で名義変更をすることが可能になります。

この場合の登記申請書の書き方は通常のものと異なりますので、ここで明治33年3月7日民刑第260号の登記先例を使った登記申請書の書式例をご提供します。

このケースでの登記申請書の見本

登  記  申  請  書

 

登記の目的  所有権移転

原   因  平成25年1月1日B相続
       平成30年2月3日相続 

相 続 人  (被相続人 A)
       横浜市西区山下町一丁目2番3号 C

添付書類

登記原因証明情報  住所証明書  代理権限証書  評価証明書  


平成30年3月20日申請 横浜地方法務局 ○○出張所

代 理 人  横浜市南区南町1番地 
      司法書士 法務太郎 
電話番号045-123-4567

課税価格   金1234万5,000円

登録免許税  金4万9,300円

不動産の表示

~省略~

 

上記の登記申請書の見本例を見ていただくとわかるかと思いますが基本的に通常の相続登記と大きな違いはありません。少しだけ違う部分でいうと登記原因が二段構えになることくらいでしょうか(赤字の部分)。
この登記申請書の見本でいえば一回の登記で4万9300円が登録免許税で必要になりますので、2回の相続登記を申請するのなら合計9万8600円の登録免許税を払わなければいけません。しかし、1回の相続登記だけですめば当然1回分の登録免許税だけですむことになります。
また、依頼した司法書士へ支払う費用についても1回分だけでいいのでこの登記先例を使うことで1回の相続登記ですませば登記費用の節約になります。

登記は手続きだけでなく実体も含めて考える

上記のケースでは、中間の相続人Bがたまたま単独相続人だった場合ですが、実はこの「中間の相続人が単独」とは、戸籍上の相続人が1人だけの場合に限られません。登記先例上は、下記のパターンで中間の登記を省略することが可能になります。

①中間の相続における戸籍上の相続人が1人だけの場合

②中間が共同相続であったが遺産分割等によって不動産を相続するのが1人だけの場合

③中間が共同相続であったが相続放棄により結果的に相続人が1人となった場合 

④中間が共同相続であったが遺言により不動産を相続するのが1人だけの場合

見ていただけるとわかるかと思いますが中間の法定相続人がたまたま1人であった場合に限られず、遺産分割や相続放棄によって結果的に不動産を相続する相続人が1人になった場合も該当します。
もしこれらに該当するのなら、中間の相続登記を省略することができる可能性がありますので、登記先例をうまく活用して1回の相続登記で完了させてください。

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・司法書士よしだ法務事務所 代表
​・行政書士法人よしだ法務事務所 代表
・NPO法人よこはま相続センター 理事
・一般社団法人相続の窓口 事務長

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数

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