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登記とは(制度や歴史)

登記制度の成り立ち

登記とは、一定の事項を登記簿などの帳簿、台帳に記録すること、またその記録そのものを言います。マイホームを購入するときに聞いたことがある方は多いのではないかと思います。公示することで国民の権利保全を図り、取引の安全と円滑に寄与することを目的としています。全国には、約3億という数の不動産の登記があるといわれています。(関連記事:登記簿謄本の読み方について

登記に関して規律している不動産登記法第1条では、以下のように言っています。

【不動産登記法第1条】

この法律は、不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めることにより、国民の権利保全を図り、もって取引の安全と円滑に資することを目的とする。

登記の歴史と制度

現在の登記制度の成り立ちを遡ってみると時は明治初期になります。
江戸時代の「藩」制度を存続させたまま成立した明治政府にとって、地域ごとでバラバラであった租税の仕組みを統一的なものにすることは重要課題のひとつでありました。明治4年7月、廃藩置県によって「藩」が廃止されると明治政府は全国的な租税改革に着手します。
そして、その前提として土地制度を改める必要かあると考え、租税改革と同時に土地制度改革を進めていきました。
明治4年12月、東京府下の市街地に対し、土地の所有権を示す「地券」が発行されました。これは、それまでの無税だった都市の市街地に対し、地価を基準にして地税を課すことが目的でした。
明治5年2月、江戸時代以来禁止されていた田畑の売買が認められ土地の異動を明確にするためにも「地所売買譲渡ニ付キ地券渡方規則」も定められて、郡村部土地を売買、譲渡する際にも地券を発行するようになりました。このような地券を「壬申地券」と呼びます。
明治6年7月、「地租改正条約」によって、地価の3%を地租として納めることが定められ、壬申地券で認められていた1枚の地券に複数の土地を記載する仕組みを改め、一筆毎の土地に1枚ずつ地券が作成されるようになりました。
しかし、これはあくまでも租税改革のために採用された方法で、土地の権利変動を公示することを目的としたものではありません。
明治19年、フランスの登記制度にならい登記法が制定され、治安裁判所に登記簿が備えられ、ここで登記事務を行うことになりました。
この時期に作成された登記簿のひとつが「地所登記簿」です。
この登記簿には、主に不動産の権利関係が示されており、不動産の物理的現況を示すものとして別に「土地台帳」が作成され、地租は土地台帳に記載された地価を基準に課税されるようになりました。
明治29年、民法が制定されるとこれに対応するため、明治32年に「不動産登記法」が制定されました。
戦後、登記制度は法務省の所管となり、法務局などで扱われるようになりました。
また、登記台帳の機能は、登記簿の中に組み込まれ、不動産登記法も平成17年に全面改正され現在に至っています。
(関連記事:登記簿謄本の取得方法について

登記の種類(権利登記と表示登記)

登記には、権利登記(不動産の権利に関する登記)と、表示登記(不動産の物理的な現況に関する登記)の2種類があります。ここでは簡単な解説に留めておきますので、詳細についてはこちらの記事をご参照ください。≫表示登記と権利登記の違い

権利登記

登記された不動産にかかわる権利の主体、権利の種類、内容、権利の移転、変更に関する登記となります。

表示登記

権利の対象である不動産(土地、建物)の物理的な状況※1(所在、地番、地目、地積、床面積など)を公示する登記となります。権利に関する登記の前提となるものです。
※1 物理的な状況とは、例えば、地番200番の土地であれば、それがどこに、どれだけの広さで、どのように利用されているのかを示します。

表示登記は、原則、1ヶ月以内に登記を申請しなければいけません。
これは、表示登記が徴税に密接に関係しているため、不動産の現況の変化をただちに把握するためです。
一方、権利登記は、登記をしなければならないという義務はありません。
しかし現実問題、不動産の登記には様々な強い効力があるため、ほとんどのケースにおいては登記がされているのが現状です。
(関連記事:登記の第三者対抗要件とは

登記は不動産の履歴書みたいなもの

登記は、一見するとわかりにくいものですが、簡単にいえば、登記簿が不動産の『履歴書』で、登記はそこに『記す』ようなものです。
登記簿には、どういった状況で(所在地・種類・地積)で、いままでどういった経歴(権利変更)を経て今に至るのかが、その都度なされた登記を見ればわかります。
登記簿は各不動産ごとに一つしか存在しませんので、登記簿がその不動産の履歴の全てです。

登記制度は、各不動産の状況や権利変動を公示し、不動産取引を行うため履歴を知りたい全ての者のためにあります。登記がもしなくなってしまったら、不動産の権利関係がわからず誰も怖くて不動産取引をしなくなってしまうでしょう。
登記は、この世の中に絶対なくてはいけないものですし、今後もその役割は変わらず続きものです。
これから不動産名義変更をしようとするのなら、登記制度のことを知り、間違いのない登記を行うようにしましょう。
また、世の中には未登記のままの不動産も多く存在しているのも事実です。未登記のままでいるとどういったリスクがあるのかも知っておくべきかと思いますので、未登記建物に関連するこちらの記事を一読してみてください。≫
相続した未登記建物の名義変更について

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相続登記の業務内容や料金の詳細については以下をご覧下さい。


この記事の監修者

司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所 代表 吉田隼哉

開業当初より、相続の分野を専門として業務を行う。
得意分野は「不動産を含む相続手続き」。テレビ「NHKクローズアップ現代」や雑誌プレジデント・AERA等の執筆、メディア実績多数。情報番組での空き家問題の取材実績あり。


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26.不動産の登記簿謄本の読み方
27.相続登記は相続人全員でやらなけらばいけないのか
28.遺贈により相続人以外に不動産名義変更をする場合
29.法定相続分での相続登記
30.遺産分割による相続登記について 

31.登記の本人申請とは
32.相続登記をしないまま単独相続人が死亡したら
33.登記先例とは
34.法定相続分での相続登記後に遺産分割した場合
35.相続した借地上の建物の名義変更 
36.
遺言による相続登記
37.遺産分割調停による相続登記 
38.
不動産を生前贈与する場合の注意点
39.表示登記と権利登記の違い
40.マンションの敷地権とは 

41.胎児がいる場合の相続登記
42.相続登記の後に遺言書が見つかったら
43.相続分の譲渡をした相続人がいる場合の相続登記
44.遺言により不動産を相続人と相続人以外へ相続をしたら 
45.
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46.
相続した未登記建物の名義変更について 
47.
登記申請の3つの方法(書面・郵送・オンライン) 
48.
親族間での不動産名義変更は売買か贈与か
49.権利証が見つからない場合の不動産名義変更
50.登記の補正とは 

51.登記の取下げ・却下とは
52.登記済権利証と登記識別情報の違い
53.地番・家屋番号とは
54.登記原因証明情報とは
55.所有権保存登記とは
56.相続登記(不動産名義変更)とは

1.相続した不動産を売却する流れ
2.相続した不動産の換価分割とは
3.相続不動産の売却の前提として相続登記が必要
4.相続不動産の売却にかかる経費まとめ
5.譲渡所得税とみなし取得費
6.物件の調査と相場の調べ方
7.住宅ローンが残っていても相続不動産は売れるのか
8.3つの媒介契約とは(一般・専任・専属専任)
9.相続不動産の売却先にするべきは個人か買取業者か
10.不動産売買契約書に貼付する収入印紙額一覧

11.相続した土地の売却に必要な測量
12.遺品整理業者とは
13.遠方の相続不動産を売却する場合の注意点
14.相続をきっかけとする空き家問題
15.相続した戸建てを売る場合の注意点
16.相続したマンションを売る場合の注意点
17.再建築不可物件とは
18.事故物件(心理的瑕疵物件)とは
19.セットバックとは
20.建物解体業者の選び方と相場 

21.空き家対策特別措置法とは
22.空き家の譲渡所得税3000万円特別控除
23.相続不動産の売却と瑕疵担保責任
24.不動産流通機構(レインズ)とは 
25.
相続した不動産の共有持分だけ売却できるか
26.4つの土地の評価方法
27.相続した借地上の建物を売却する方法
28.売却したい相続不動産に住む相続人が立ち退かない
29.認知症の相続人がいる場合の相続不動産売却
30.400万円以下の売主側仲介手数料の改正
31.一部の相続人が不動産売却に応じないときは

32.定期借地権付き建物を相続したら

1.普通失踪と特別失踪とは
2.相続財産の3つの分け方
3.胎児も相続人となるのか
4.法定相続人の範囲について
5.各相続人の法定相続分の計算方法
6.養子の法定相続分とは
7.嫡出子と非嫡出子の法定相続分について
8.内縁の妻(夫)にも相続権はあるのか
9.行方不明の相続人がいるケースの遺産分割
10.認知症の相続人がいるケースの遺産分割

11.相続人の中に未成年者がいるケースの相続まとめ
12.特別代理人の選任申立ての方法
13.相続欠格とは
14.相続人廃除とは
15.戸籍謄本とは
16.遠方の戸籍謄本の取り寄せ方法
17.相続財産に含まれるもの
18
生命保険金は相続税の課税対象か
19.死亡退職金は相続税の課税対象か
20.相続開始後のアパート賃料は遺産分割の対象か

21.名義預金と相続税について
22.香典や弔慰金は相続財産となるのか
23.借金(債務)は必ず相続するのか
24.故人の債務・借金の調査方法
25.病院代等の医療費の支払い義務は相続するのか
26.葬儀費用は相続するのか
27.単純承認とは
28.限定承認とは
29.相続放棄とは
30.家庭裁判所への相続放棄の申述方法 

31.相続放棄の3ヶ月熟慮期間の伸長
32.3ヶ月経過後の相続放棄
33.相続放棄の取り消し・撤回
34.相続放棄と生命保険金
35.相続放棄と空き家の管理責任
36.生前でも相続放棄できるのか
37.死亡届の提出
38.準確定申告とは
39.遺産分割協議の流れ・進め方
40.海外の相続人がいる場合の遺産分割

41.相続関係から離脱するためには
42.自筆証書遺言とは
43.秘密証書遺言とは
44.公正証書遺言とは
45.家庭裁判所での遺言書の検認手続き
46.自筆証書遺言と公正証書遺言の比較
47.遺言があっても遺産分割できるのか
48.特別受益とは
49.換価分割とは
50.代償分割とは

51.銀行が故人の預金口座を凍結するタイミング
52.相続した預貯金口座の解約方法
53.相続税申告のための残高証明書と取引明細の取得方法
54.株式の相続手続きについて
55.改正による旧相続税と新相続税の比較
56.相続税の申告方法
57.遺産分割協議が整わない場合の相続税申告
58.相続税の分割払い・物納の方法
59.相続税の各種控除・特例について
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61.遺言を書くメリットとデメリット
62.絶対に遺言を書いておくべき人とは
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67.遺言公正証書作成にかかる公証人手数料
68.親に遺言を書いてもらうためには
69.遺言の書きなおし・一部修正の方法
70.遺言に記載された財産を生前処分すると

71.付言事項とは
72.複数の遺言が見つかったら
73.遺贈寄付とは
74.遺言作成を専門家へ依頼するメリット
75.相続時精算課税制度とは
76.代襲相続と数次相続の違い
77.遺産分割を放置するデメリット
78.遺産分割調停とは
79.包括遺贈と特定遺贈の違い
80.遺贈と死因贈与の違い 

81.除籍謄本と改製原戸籍
82.資格者による戸籍謄本等の職権取得
83.疎遠な相続人との遺産分割
84.成年後見制度とは
85.相続した預貯金口座の調べ方
86.期限付きの相続手続きまとめ
87.遺産分割協議書と遺産分割証明書の違い
88.公正証書遺言の検索方法・調査
89.法定相続情報証明制度とは
90.法定相続情報証明制度の問題点と今後

91.高齢者消除と相続
92.同時に死亡した場合の相続関係
93.準正とは
94.再転相続とは
95.相続財産管理人とは
96.遺留分減殺請求権の行使
97.戸籍と住民票の保管期限
98.相続分の譲渡とは
99.いらない土地を相続放棄できるか

100.遺言書の財産目録がパソコンで印字可能に

 

テレビ取材・雑誌の執筆等

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代表司法書士プロフィール

司法書士・行政書士 吉田隼哉

・司法書士よしだ法務事務所 代表
​・行政書士法人よしだ法務事務所 代表
・NPO法人よこはま相続センター 理事
・一般社団法人相続の窓口 事務長

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数

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