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相続による不動産名義変更(相続登記)は、権利登記なのでするかしないかはあくまでも当事者の自由です。誰からも強制される類のものではありません。
しかし、実は相続人が登記を希望していないにも関わらず勝手に相続登記を入れられてしまうことがあるのはご存知でしょうか。
ここでは勝手に誰かに相続登記を申請されてしまう代位による相続登記について解説します。(関連記事:相続登記を自分でやる方法)
実は、相続人自身がする相続登記の他に、代位による相続登記というパターンが考えられます。この代位による相続登記については、相続人の意思に関係なくなされるものなので、相続人達が全く知らぬところで不動産名義変更が行われることになります。
代位による登記とは、債権者代位権による登記申請のことです。
債権者代位権と聞くと法律用語なので難しいと思いますが、債権者と債務者の関係において、債権者が自らの債権を保全することを目的として、債務者が持つ登記の権利を、債務者に代わって債権者が行使する登記のことです。
簡単にいえば、たとえばお金を貸した人が債権者で借金をした人が債務者です。債権者としては自らの権利を行使するために、債務者の財産を取立てたいわけですから、債務者がもし何らかの債権を持っているのなら、早く行使してほしいわけです。しかし、債務者が行使をするのをいつまで待っていられない債権者には、債務者の権利を代わりに行使する権利を持たせることにしました。これが債権者代位権です。
相続登記の話でいえば、債務者(相続人)が相続登記を入れる権利があるにも関わらずなかなかしてくれない場合には、債権者は自分の債権を保全する目的で、相続人である債務者に代わって(代位権)相続登記を申請することができます。
これによって、債務者が登記名義人となりますので、債権者としてはその名義変更をした不動産を差し押さえることができるわけです。
ただし、この場合の相続登記ですが、当然相続人は遺産分割等をすることなく勝手に相続登記を入れられるわけですから、債権者は法定相続分での不動産名義変更をするほかありません。
債権者は何も消費者金融等の民間業者に限られるわけではありませんから、国や役所が税金滞納のために債権者代位権を行使することがあります。
つまり、代位による相続登記を勝手に入れられる場合というのは、相続人が債務者(借金や税金滞納など)の場合に、差し押さえをしたい債権者がその前提として行うものです。
よって、単独で代位による相続登記を申請することはあまりなく、実際は差し押さえ登記と一緒になされることが多いものと思われます。
勝手に相続登記をしてくれるのであれば、ありがたいような気もしますが、それでも法定相続人としては通常の相続登記とは違う不都合が生じます。
代位による相続登記の場合には、特殊な話ですが権利証(登記識別情報通知)が発行されません。
権利証が発行されないということは、もし仮に債務を完済できて差し押さえを解除できて、不動産の名義を他の人へ変更したいと思っても、権利証が手元にない場合の特別な手続き(資格者代理人による本人確認情報や事前通知制度など)を取るしか解決する方法がなくなります。売却したいと思っても権利証がないと非常に困ります。
何とか代替え措置はあるのせよ、権利証が発行されないというのは、少しおかしい気もしますが、不動産登記法上でそのような取り扱いになっている以上、仕方のないことなのです。(関連記事:権利証が見つからない場合の不動産名義変更)
もし債務を完済することができて差し押さえを解除できた場合、法定相続分のままではなく遺産分割をして相続人の中の誰かに名義変更をすることも可能です。
この場合の不動産名義変更は、法定相続分で各相続人が持っている持分を、遺産分割で取得することになった相続人へ「年月日遺産分割」を原因として所有権移転登記を申請することになります。この場合の登記は共同申請となります。
共同申請ということは、権利証を添付書面として提出しなければいけないことになりますが、前述したように代位による相続登記の場合には権利証は発行されていません。
こういった場合は、司法書士による本人確認情報という書類を権利証の代わりに添付することによって登記申請を法務局へ受理してもらうことになります。
よって、代位による相続登記が勝手にされた後に遺産分割で相続人へ不動産名義変更をする場合には、最初から司法書士へ依頼をするようにしましょう。(関連記事:法定相続登記後の遺産分割による移転登記について)
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この記事の監修者
司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所 代表 吉田隼哉
開業当初より、相続の分野を専門として業務を行う。
得意分野は「不動産を含む相続手続き」。テレビ「NHKクローズアップ現代」や雑誌プレジデント・AERA等の執筆、メディア実績多数。情報番組での空き家問題の取材実績あり。
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56.相続登記(不動産名義変更)とは
1.相続した不動産を売却する流れ
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3.相続不動産の売却の前提として相続登記が必要
4.相続不動産の売却にかかる経費まとめ
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8.3つの媒介契約とは(一般・専任・専属専任)
9.相続不動産の売却先にするべきは個人か買取業者か
10.不動産売買契約書に貼付する収入印紙額一覧
11.相続した土地の売却に必要な測量
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13.遠方の相続不動産を売却する場合の注意点
14.相続をきっかけとする空き家問題
15.相続した戸建てを売る場合の注意点
16.相続したマンションを売る場合の注意点
17.再建築不可物件とは
18.事故物件(心理的瑕疵物件)とは
19.セットバックとは
20.建物解体業者の選び方と相場
21.空き家対策特別措置法とは
22.空き家の譲渡所得税3000万円特別控除
23.相続不動産の売却と瑕疵担保責任
24.不動産流通機構(レインズ)とは
25.相続した不動産の共有持分だけ売却できるか
26.4つの土地の評価方法
27.相続した借地上の建物を売却する方法
28.売却したい相続不動産に住む相続人が立ち退かない
29.認知症の相続人がいる場合の相続不動産売却
30.400万円以下の売主側仲介手数料の改正
31.一部の相続人が不動産売却に応じないときは
32.定期借地権付き建物を相続したら
1.普通失踪と特別失踪とは
2.相続財産の3つの分け方
3.胎児も相続人となるのか
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5.各相続人の法定相続分の計算方法
6.養子の法定相続分とは
7.嫡出子と非嫡出子の法定相続分について
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9.行方不明の相続人がいるケースの遺産分割
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87.遺産分割協議書と遺産分割証明書の違い
88.公正証書遺言の検索方法・調査
89.法定相続情報証明制度とは
90.法定相続情報証明制度の問題点と今後
91.高齢者消除と相続
92.同時に死亡した場合の相続関係
93.準正とは
94.再転相続とは
95.相続財産管理人とは
96.遺留分減殺請求権の行使
97.戸籍と住民票の保管期限
98.相続分の譲渡とは
99.いらない土地を相続放棄できるか
≫実家を亡父親から母親名義に変更する相続登記
≫亡くなった母親から長女へ名義変更をする
≫公正証書遺言が残されていた場合の相続登記
≫5年前に亡くなった父親の相続登記
≫亡くなった兄から名義変更する相続登記
≫田舎にある実家の相続登記
≫父親が残した自筆証書遺言での相続登記
≫亡くなった叔父の自宅の相続登記
≫未成年者が相続人にいるケースの相続登記
≫地主だった父親名義の不動産を相続登記
≫相続した未登記建物の名義変更
≫代位による相続登記後に遺産分割した相続登記
≫母親と父親が順に亡くなった場合の相続登記
≫一部の相続人が相続放棄した場合の相続登記
≫相続した対象不動産がよくわからない相続登記
≫家裁で検認した遺言書を使わずに相続登記
≫売却の前提としての相続登記
≫登記済権利証が見つからない場合の相続登記
≫自宅と原野の相続登記
≫孤独死で亡くなった叔父の自宅を相続登記
1.父親名義の実家を母親に変更したい
2.亡くなった母名義のマンションを名義変更したい
3.父から相続した二世帯住宅の名義変更をしたい
4.単独相続した母親のマンションを名義変更
5.兄から相続した遠方の不動産を名義変更したい
6.父と母が順に亡くなった場合の不動産名義変更
7.叔母から代襲相続したマンションの名義変更
8.父がのこした公正証書遺言での不動産名義変更
9.実家と別荘の不動産名義変更をしたい
10.上物(建物)は自分名義のため土地のみ名義変更
11.権利証を紛失した不動産の名義変更
12.売却の前提として至急の不動産名義変更
13.未成年者がいる場合の相続した不動産名義変更
14.相続税申告が絡む不動産名義変更
15.相続人が12人いる場合の不動産名義変更
16.相続人の1人が相続放棄した後の不動産名義変更
17.遺贈により相続人以外が取得したマンションの名義変更
18.対象不動産が不明な場合の相続登記
19.一筆の土地を分けて兄弟がそれぞれ相続する事例
20.複数ある不動産を遺産分割で相続人が分けて名義変更
1.兄弟で相続した不動産を売却して代金を分けたい
2.父親が他界したので実家を売却して姉妹で分割したい
3.兄弟3人が相続した実家を換価分割する
4.遠方の相続人がいる場合に実家を換価分割したい
5.空き家の3000万円控除を使って売却する
6.事故物件となったマンションを売却したい
7.税金滞納で差し押さえられた相続不動産を売却したい
8.相続した地方の実家を換価分割したい
9.相続人が多数いる場合に換価分割するケース
10.スムーズに相続した実家を換価分割したい
11.相続した定期借地上の建物を売却して解決した事例
12.相続した不要な土地と自宅をまとめて売却
13.入居者がいる相続したアパートを売却して換価分割
14.月極駐車場で貸している土地を換価分割
15.自殺があった相続不動産を売却して換価分割
16.不仲な姉妹共有の相続不動産を売却
17.相続放棄を検討していた家を売却
18.孤独死があった家を相続して売却換価
19.公正証書遺言の内容に従って換価分割
20.平等に姉妹で相続した不動産を売却して分割
・司法書士よしだ法務事務所 代表
・行政書士法人よしだ法務事務所 代表
・NPO法人よこはま相続センター 理事
・一般社団法人相続の窓口 事務長
「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数
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