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相続した預貯金口座の解約方法

相続により故人の口座は凍結される

前回は、金融機関が故人名義の口座を凍結してしまうタイミングについて解説をしました。(関連記事:銀行が故人の預金口座を凍結するタイミング
では、その凍結された預貯金口座を解約するためには、どういった手続きをとらなければいけないのでしょうか。

預貯金口座の名義人(被相続人)がなくなると、金融機関はその口座を凍結します。

通常は、相続人が相続手続きの一環として、被相続人の預貯金口座がある金融機関へ口座名義人(被相続人)がなくなったことを伝えることで、金融機関は即座に口座を締結します。

預貯金は被相続人の相続財産に当たるため、遺産分割が確定するまでは誰も手を付けることができません。たとえ相続人であってもそれは同じです。

仮に口座を凍結せずにそのままの状態にしておくと、一部の相続人が遺産分割確定前に勝手に預貯金を引き出して、持ち逃げや使い込みをするリスクが考えられます。もしそのようなことが起きた場合には、金融機関側は責任を問われる可能性もあります。また、名義人(被相続人)が死亡した日の預貯金を価格は、相続税を算出するうえで使われます。このような事情から、各金融機関は遺産分割の確定があるまでは名義人(被相続人)の預貯金口座を凍結しておくのです。

口座が凍結されると

当然、お金の引き出しはできなくなります。もし、その口座で家族の生活費をやりくりしていた場合には、当面の生活に支障をきたす恐れが出てきます。そのような場合には、あくまでも例外措置として金融機関は、一定額であれば生活費としての金の引き出しを了承してくれる場合があります。ただし、相続人全員の了承は必要です。了承を得ずにお金を引き出した場合、後々トラブルのもとになってしまいますので注意してください。また、死期が近い場合には、予め生活費としてある程度のお金を引き出しておくことも検討しておきましょう。この場合でも、必ず他の相続人には伝えて了承を得ておきましょう。

相続した預貯金の解約手続きは平日15:00までに行う

相続による預貯金口座の解約方法ですが、一般的には、まず、口座のある金融機関に相続する旨を申し出ます。その後、各金融機関が用意した相続依頼書などと必要書類(この後説明します)を揃えて提出します。口座の解約手続き自体はひとまずこれで完了です。

預貯金の払い戻しまでの期間は、金融機関によりまちまちですが、およそ2週間から1ヶ月ほどを要します。気をつけなければならない点としては、ほとんどの金融機関は平日の15:00までしか営業しておりませんので、仕事をしている方の場合には、金融機関へ出向くことすら容易ではないかと思います。そのような場合には、専門家である司法書士や弁護士に相続手続き自体を代理してもらうといった方法もあります。

被相続人名義の預貯金口座の解約に必要な書類は

状況によって必要になってくる書類も異なります。各状況ごとに説明していきます。

①遺産分割協議書がある場合(遺言書なし)
・遺産分割協議書
・口座名義人(被相続人)の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑登録証明書(取得から3ヶ月以内のもの)
・解約する預貯金口座の通帳、キャッシュカード

②遺産分割協議書がない場合(遺言書なし)
・口座名義人(被相続人)の戸籍謄本(出生から死亡まで連続したもの)
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑登録証明書
(取得から3ヶ月以内のもの)
・解約する預貯金口座の通帳、キャッシュカード

③遺言書がある場合
・検認済み遺言書(または公正証書遺言)
・口座名義人(被相続人)の死亡の記載のある戸籍
・相続する方の戸籍
・相続する方の印鑑登録証明書
(取得から3ヶ月以内のもの)
・解約する預貯金口座の通帳、キャッシュカード
※遺言書がある場合には、ない場合と比べて、集める書類が少なくて済みます。

全ての場合において戸籍謄本の提出が必要ですが、「法定相続情報一覧図の写し」でも代用は可能です。この場合、戸籍謄本の提出は原則必要ありません。
「法定相続情報一覧図の写し」とは、各種相続手続きの簡略化のために始まった法定相続情報証明制度において交付される証明書類のことです。現行の相続手続きにおいて被相続人の戸籍謄本などの束を手続を行う窓口に何度も出しなおす必要があります。法定相続情報証明制度は、登記所に戸籍謄本などの束を提出し、併せて相続関係を一覧にした図を出せば、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付してくれます。
その後、各種相続手続きにて、その法定相続情報一覧図の写しを利用することで、戸籍謄本などの束を何度も出しなおす必要がなくなります。

上記の書類以外にも金融機関より、別途、提出を求められる書類がある場合があります。

必要書類を持参しても窓口で時間がかかる(3時間以上かかることも)

当事務所では数え切れないほどの金融機関、支店で預貯金の相続手続きを行ってきました。
我々のような専門家であれば必要書類は全て頭にはいっておりますし、まず書類不備が起こることはありません。戸籍謄本が足りないということもありえません。そんな専門家が窓口で上記の必要書類を全て取りそろえて出向いたとしても、一つの支店で約1時間以上はかかります。
また、手続きに不慣れな窓口担当者にあたってしまうと本部とのやり取りをしながら手続きを進めるので3時間以上かかることもあります。さらに、その日のうちに手続きを完了させられるとは限らず、また別に来所してほしいといわれることも結構ありますし、そもそも何らの受付もしてもらえず、予約をしてから来てくれと言われることもあります。
前述したように、平日15:00までに支店窓口をまわるとなると、どうしても時間的に一日3行から4行が限界となります。

平日にお仕事がある方は、何日か有給を取得して相続手続きを進めなければいけませんので(もちろん役所も平日に行かなければならない)、相続手続きを進めることが難しい理由はそこにあるのかもしれません。

故人が借りている貸金庫の解約手続きはどうする?

貸金庫の需要が高まり、金融機関で貸金庫を借りている方が増えているのをご存知でしょうか?
今までの経験則でお話しをすると貸金庫の存在を相続人が知っているケースは約7割くらいです。残りの3割くらいの方が、全く故人が貸金庫を借りていたことを知らされていなかったことになります。

貸金庫も預金口座と同様に相続手続きを行わなければいけません。
貸金庫の解約方法も、おおよそ預金の解約と必要書類に違いはありませんので、預金の解約に準じて考えていただければ結構です。
ただ、貸金庫という特殊性ゆえ、相続人のうちの1人が勝手に貸金庫を開扉してしまうと、中身にどんなものがあったか後々になって他の相続人から文句を言われてしまうことがありますので、できれば開扉の日に相続人全員で行くか、もしくは貸金庫の開扉についてあらかじめ相続人全員に連絡をしておくことが望ましいかもしれません。貸金庫の中身については金融機関の人も知りませんし、金融機関の人も開扉に立ち会ってくれるわけでもありませんので(トラブル防止のため開扉に金融機関の担当者は原則立ち会わない)、自分の身を守るという観点からも他の相続人と一緒に行った方がいいでしょう。

貸金庫の解約返戻金または差額分支払いについて

貸金庫はどこの金融機関もだいたい年1回、特定の日に借主の預金口座から引き落としされるのが一般的です。貸金庫のサイズにもよりますが、小・中サイズで年1~2万円くらい、大サイズで年2~3万円くらいが多い印象です。
貸金庫の解約のタイミングで解約返戻金が戻ってくるのであれば、それは相続財産に含めて計算をしなければいけません(通常は解約時に現金で返金してくれます)。逆に故人の口座が凍結されて引き落としができず差額分の支払いが必要な場合には、解約時に支払いが必要となりますので、それは相続債務として計算をすればいいことになります。

貸金庫から遺言書が出てきてしまったら

貸金庫の中身を相続人が知っていればいいかもしれませんが、全く中身がわからない場合には中から遺言書が出てくることがあります。経験上、貸金庫がある場合にはこれが一番厄介です。
予期せず遺言書が出てきてしまった場合、原則として当該遺言書の内容に従って相続手続きを進めなければいけないことになります。
通常、時間がかかる貸金庫の解約は一番最後の方になることが多く、その段階まででおよその遺産分割内容がまとまることが多いため、ぎりぎりになって遺産分割の話が覆ってしまうことがあるのです。
貸金庫の中身を誰も知らないのであれば、なるべく早い段階で貸金庫の開扉を行った方がいいかもしれません。(実務上それだと非合理的なのでどうしても貸金庫開扉は最後の方になってしまうのですが・・・)

なお、前述したように貸金庫の開扉を相続人全員で行った方がいい理由はここにも繋がってきます。もし1人で開扉した相続人が自らに不利な遺言(自筆証書)を発見した場合、当該遺言を破棄してしまう可能性があるからです。もちろん法律上遺言書の破棄を行った相続人は相続欠格となり相続人となることができなくなる民事責任を負います(民法891条5号)。しかし、それはあくまでも法律論であって、誰も知りえない状況で破棄されてしまうと法律云々は通用しなくなってしまいます。

本当に遺言が出てこなかったとしても、後々相続人から「そういえば親父は貸金庫に遺言をのこしたって言ってたぞ?!」と言われても嫌な思いをするだけです。貸金庫の開扉は十分に気を付けなければいけないことだということを理解していただけたかと思います。

死亡日の残高証明書も取得しておきましょう

相続税申告のために金融機関発行の「残高証明書」というものが必要になります。
この残高証明書を税務署へ提出することによって、死亡日を残高を証明し、相続税の算定根拠とするのです。
相続税申告が必要のない基礎控除額以下の人であれば、そもそも相続税申告が不要なため残高証明書が必要ないかもしれませんが、1通あたり数百円程度ですし、遺産分割協議の際に使うこともできますので、全ての人が取得しておいた方がいいでしょう。

相続発生による残高証明書の取得方法については、次の記事が参考になると思います。
相続税申告のための残高証明書と取引明細の取得方法 

なお、他のサイトなどでは「まずは銀行へ行って残高証明書を取得しよう!」と書かれているものを見かけることがありますが、それは少し疑問を感じます。
前述したように、相続の場合には銀行の窓口手続きに時間がかかりますし、一日にまわれる支店数も限られてきますので、相続手続きと一緒に残高証明書を取得されることをお勧めします。

実際に当事務所では、よほどの理由がない限りは(相続税申告期限が間近)、相続手続きと残高証明書の申請を兼ねて金融機関に行くようにしています。
わざわざ二度も同じ金融機関に出向くの合理性に欠きます。

ATMからキャッシュカードで引き出してはいけないの?

生前に、被相続人の財産を子供が管理している場合には、子供がキャッシュカードの番号を知っていることがあります。
子供としては面倒な相続手続きをとらずに預金口座の中の財産を全部ATMで引き抜いて終わらせたいと考えたくなることもわかりますが、
適正な相続手続きを取ることなく、被相続人名義の預金を引き出してはいけません。
相続人間のトラブルのもとですし、何よりも遺産分割協議が成立していない状態で、相続財産を引き抜く行為自体に問題があります。
葬儀費用や諸手続きに費用がかかるのはわかりますが、きちんとした相続手続きをとった上で、被相続人の預金を引き出すようにしましょう。

なお、本ページに来られる前に既に引き出してしまっているケースもあると思いますが、そういった場合には、あえて口座へお金を戻す必要まではなく、他の相続人へ事情を説明して自分の財産とは別に管理をしておけば問題はないと思われます(もちろん引き出した預金は相続財産に含まれるため遺産分割の対象になります)。
さらに金融機関の方から何か言われたり、自分が相談している専門家から怒られるということはないはずなので、キャッシュカードで引き出してしまったことは包み隠さず話をするようにしましょう。

司法書士へ遺産承継業務を依頼する方法もあります

ここまでご説明をしてきたように、一言に「相続による預貯金の解約」といっても、その手続きは非常に面倒で手間のかかるものです。自分でやることのデメリットとして平日に行かなけばいけないことはもちろんですが、相続人のうちの1人が行ったことで相続トラブルとなることが大きな問題としてあげられます。
司法書士という国家資格者が関与することで、相続財産を専門家に管理してもらい、客観的に見ても適切な遺産の承継が行うことが可能となります(相続人の使い込み防止にもなります)。相続人間としても相続人のうちの1人へ任せるより、専門家へ任せた方が色んな意味でも安心感があるはずです。

当事務所では、遺産承継業務として預貯金の解約や遺産分割、相続登記など一括してお受けすることが可能なので、もしご興味があれば下記のリンクから業務の詳細をご覧いただくことができます。
遺産承継業務の詳細と料金について

株式の相続手続きは預貯金よりも遥かに大変です

本ページでは相続による預貯金口座の解約方法について解説をしてきましたが、被相続人が投資や株をやる方だった場合には、もっと大変な手続きが待ち構えています。
預貯金よりも手続き方法が複雑で時間もかかります。相続人が証券口座を持ってない場合には、用意しなければいけないこともあります。
預貯金よりも難しい株式の相続手続きについては、こちらの記事で解説をしていますので、ご参照ください。
株式の相続手続きについて

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・司法書士よしだ法務事務所 代表
​・行政書士法人よしだ法務事務所 代表
・NPO法人よこはま相続センター 理事
・一般社団法人相続の窓口 事務長

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数

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