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どういった場合に遺言書の検認が必要となるのでしょうか。
遺言書の検認手続きについて、民法では以下のように言っています。
民法1004条
(1)遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
(2)前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
(3)封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認手続きを受けないと遺言の執行ができません。(遺言自体の効力の発生は、遺言者の死亡のときからその効力を生じます。民法985条)
相続人は相続の開始を知った後、遺言書を家庭裁判所に提出して検認請求をします。
検認とは、相続人に対して、遺言の存在、内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付や署名など、遺言書の内容を明確にして偽造や変造を防止するための手続きです。
※ただし、公正証書遺言は公証役場で公証人が作成しているため、偽造などの恐れはなく検認の必要はありません。
また、検認手続きを経ないからといって、遺言が無効になるわけではありません。
ただし、検認手続きを怠った場合は以下のとおりです。
「前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処する。」(民法1005条)
検認手続きを怠ったり、勝手に開封をすると、過料に処されます。
◆申立人
・遺言書の保管者
・遺言書を発見した相続人
◆申立先
遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
◆費用
・遺言書1通につき収入印紙800円分
・連絡用の郵便切手
◆必用書類
・申立書
・遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍)
・相続人全員の戸籍謄本
・遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している者がいる場合には、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍)
◇相続人が遺言者の(配偶者と)父母、祖父母など(直系尊属)の場合(相続第2順位)
遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る)で死亡している者がいる場合には、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍、改製原戸籍)
◇相続人が不存在の場合、遺言者の配偶者のみの場合、又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者の場合(相続第3順位)
・遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍)
・遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍、改製原戸籍)
・遺言者の兄弟姉妹に死亡している者がいる場合には、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍)
・代襲者としての甥、姪に死亡している者がいる場合には、その甥又は姪の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍、改製原戸籍)
家庭裁判所への検認請求の申立て後、約1~2週間ほどで検認の期日通知が送られてきます。
その後、通知日の約1ヶ月後に検認期日が指定され、家庭裁判所へ出頭し検認手続きがおこなわれます。
(裁判所へ出頭できない場合には、後日家庭裁判所より、検認済みの通知が送られてきます。)
よって、遺言者の死亡から遺言書の検認手続き完了までおよそ2ヶ月弱の日数を要します。
申立人は、検認を受けた後、申請をすることで検認済証明書を発行してもらえます。
検認済証明書は、検認年月日、事件番号、家庭裁判所名などが記載され、書記官が記名押印した証明文が自筆証書遺言書の末尾に付記、契印する方法でおこなわれます。
登記や金融機関での手続きの際に必要となります。(関連記事:遺言による相続登記)
家庭裁判所の検認手続きを受けないと、いろいろな不都合が生じてきます。
検認手続きを経ていない遺言書では、不動産登記の手続きができません。検認済みの自筆証書遺言の添付が必要となります。(法務局が受け付けてくれません。)
また、金融機関などにおいても検認手続きを経ていない遺言書は正式なものとみなされず、手続きに応じてくれない場合がほとんどです。
すでに説明したとおり、自筆証書遺言は家庭裁判所の検認手続きを受けないと遺言の執行ができません。
そして、検認手続きも申立てから完了まで日数を要し、非常に面倒なものとなっています。その反面、公正証書遺言には家庭裁判所の検認手続きが必要ありません。
公正証書遺言は、公証役場で法律の専門家である公証人が遺言者の口述をもとに遺言書を作成してくれます。内容に法的な問題点があれば遺言者に対し、内容を改めるように助言もしてくれます。また、方式の不備で無効になる恐れもありませんし、偽造、変造もなく保管も確実となっています。
一定の手数料などは掛かってしまいますが、確実に遺言を執行するためにはやはり自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言を選択するべきでしょう。
次の記事では、なぜ公正証書を選択すべきなのかがわかるように、自筆証書遺言と公正証書遺言の違いを解説していきたいと思います。
≫自筆証書遺言と公正証書遺言の比較
公正証書を遺言を作成する場合に最も重要なのは、いかに最初の原案作成の段階で法律上不備のないものを作ることができるか否かです。公証人は非常に多忙なので、依頼者から言われた内容の遺言を作ることはできても、詳細な打ち合わせやアドバイス等は行ってくれないのが現状です。
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この記事の監修者
司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所 代表 吉田隼哉
開業当初より、相続の分野を専門として業務を行う。
得意分野は「不動産を含む相続手続き」。テレビ「NHKクローズアップ現代」や雑誌プレジデント・AERA等の執筆、メディア実績多数。情報番組での空き家問題の取材実績あり。
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12.勝手に相続登記を入れられることはあるのか
13.不動産名義変更(相続登記)を自分でやる方法
14.持分だけ不動産名義変更する場合の注意点
15.相続による不動産名義変更に期限は存在するのか
16.不動産名義変更は権利であって義務ではない
17.相続発生後に不動産名義変更を放置するデメリット①
18.相続発生後に不動産名義変更を放置するデメリット②
19.住所(氏名)変更登記とは
20.戸籍謄本の一部が戦争で焼失した場合の上申書
21.住民票の除票が取得できなかった場合の上申書
22.農地の名義変更の注意点
23.名義変更を簡単に考えてはいけない理由
24.登記の第三者対抗要件とは
25.不動産の登記簿謄本の取り方
26.不動産の登記簿謄本の読み方
27.相続登記は相続人全員でやらなけらばいけないのか
28.遺贈により相続人以外に不動産名義変更をする場合
29.法定相続分での相続登記
30.遺産分割による相続登記について
31.登記の本人申請とは
32.相続登記をしないまま単独相続人が死亡したら
33.登記先例とは
34.法定相続分での相続登記後に遺産分割した場合
35.相続した借地上の建物の名義変更
36.遺言による相続登記
37.遺産分割調停による相続登記
38.不動産を生前贈与する場合の注意点
39.表示登記と権利登記の違い
40.マンションの敷地権とは
41.胎児がいる場合の相続登記
42.相続登記の後に遺言書が見つかったら
43.相続分の譲渡をした相続人がいる場合の相続登記
44.遺言により不動産を相続人と相続人以外へ相続をしたら
45.相続登記時に付随した私道等の移転漏れに注意
46.相続した未登記建物の名義変更について
47.登記申請の3つの方法(書面・郵送・オンライン)
48.親族間での不動産名義変更は売買か贈与か
49.権利証が見つからない場合の不動産名義変更
50.登記の補正とは
51.登記の取下げ・却下とは
52.登記済権利証と登記識別情報の違い
53.地番・家屋番号とは
54.登記原因証明情報とは
55.所有権保存登記とは
56.相続登記(不動産名義変更)とは
1.相続した不動産を売却する流れ
2.相続した不動産の換価分割とは
3.相続不動産の売却の前提として相続登記が必要
4.相続不動産の売却にかかる経費まとめ
5.譲渡所得税とみなし取得費
6.物件の調査と相場の調べ方
7.住宅ローンが残っていても相続不動産は売れるのか
8.3つの媒介契約とは(一般・専任・専属専任)
9.相続不動産の売却先にするべきは個人か買取業者か
10.不動産売買契約書に貼付する収入印紙額一覧
11.相続した土地の売却に必要な測量
12.遺品整理業者とは
13.遠方の相続不動産を売却する場合の注意点
14.相続をきっかけとする空き家問題
15.相続した戸建てを売る場合の注意点
16.相続したマンションを売る場合の注意点
17.再建築不可物件とは
18.事故物件(心理的瑕疵物件)とは
19.セットバックとは
20.建物解体業者の選び方と相場
21.空き家対策特別措置法とは
22.空き家の譲渡所得税3000万円特別控除
23.相続不動産の売却と瑕疵担保責任
24.不動産流通機構(レインズ)とは
25.相続した不動産の共有持分だけ売却できるか
26.4つの土地の評価方法
27.相続した借地上の建物を売却する方法
28.売却したい相続不動産に住む相続人が立ち退かない
29.認知症の相続人がいる場合の相続不動産売却
30.400万円以下の売主側仲介手数料の改正
31.一部の相続人が不動産売却に応じないときは
32.定期借地権付き建物を相続したら
1.普通失踪と特別失踪とは
2.相続財産の3つの分け方
3.胎児も相続人となるのか
4.法定相続人の範囲について
5.各相続人の法定相続分の計算方法
6.養子の法定相続分とは
7.嫡出子と非嫡出子の法定相続分について
8.内縁の妻(夫)にも相続権はあるのか
9.行方不明の相続人がいるケースの遺産分割
10.認知症の相続人がいるケースの遺産分割
11.相続人の中に未成年者がいるケースの相続まとめ
12.特別代理人の選任申立ての方法
13.相続欠格とは
14.相続人廃除とは
15.戸籍謄本とは
16.遠方の戸籍謄本の取り寄せ方法
17.相続財産に含まれるもの
18.生命保険金は相続税の課税対象か
19.死亡退職金は相続税の課税対象か
20.相続開始後のアパート賃料は遺産分割の対象か
21.名義預金と相続税について
22.香典や弔慰金は相続財産となるのか
23.借金(債務)は必ず相続するのか
24.故人の債務・借金の調査方法
25.病院代等の医療費の支払い義務は相続するのか
26.葬儀費用は相続するのか
27.単純承認とは
28.限定承認とは
29.相続放棄とは
30.家庭裁判所への相続放棄の申述方法
31.相続放棄の3ヶ月熟慮期間の伸長
32.3ヶ月経過後の相続放棄
33.相続放棄の取り消し・撤回
34.相続放棄と生命保険金
35.相続放棄と空き家の管理責任
36.生前でも相続放棄できるのか
37.死亡届の提出
38.準確定申告とは
39.遺産分割協議の流れ・進め方
40.海外の相続人がいる場合の遺産分割
41.相続関係から離脱するためには
42.自筆証書遺言とは
43.秘密証書遺言とは
44.公正証書遺言とは
45.家庭裁判所での遺言書の検認手続き
46.自筆証書遺言と公正証書遺言の比較
47.遺言があっても遺産分割できるのか
48.特別受益とは
49.換価分割とは
50.代償分割とは
51.銀行が故人の預金口座を凍結するタイミング
52.相続した預貯金口座の解約方法
53.相続税申告のための残高証明書と取引明細の取得方法
54.株式の相続手続きについて
55.改正による旧相続税と新相続税の比較
56.相続税の申告方法
57.遺産分割協議が整わない場合の相続税申告
58.相続税の分割払い・物納の方法
59.相続税の各種控除・特例について
60.相続税の申告・納付を怠ったら
61.遺言を書くメリットとデメリット
62.絶対に遺言を書いておくべき人とは
63.遺言執行者とは
64.特別の方式による遺言
65.遺言と意思能力の問題
66.公正証書遺言の作り方
67.遺言公正証書作成にかかる公証人手数料
68.親に遺言を書いてもらうためには
69.遺言の書きなおし・一部修正の方法
70.遺言に記載された財産を生前処分すると
71.付言事項とは
72.複数の遺言が見つかったら
73.遺贈寄付とは
74.遺言作成を専門家へ依頼するメリット
75.相続時精算課税制度とは
76.代襲相続と数次相続の違い
77.遺産分割を放置するデメリット
78.遺産分割調停とは
79.包括遺贈と特定遺贈の違い
80.遺贈と死因贈与の違い
81.除籍謄本と改製原戸籍
82.資格者による戸籍謄本等の職権取得
83.疎遠な相続人との遺産分割
84.成年後見制度とは
85.相続した預貯金口座の調べ方
86.期限付きの相続手続きまとめ
87.遺産分割協議書と遺産分割証明書の違い
88.公正証書遺言の検索方法・調査
89.法定相続情報証明制度とは
90.法定相続情報証明制度の問題点と今後
91.高齢者消除と相続
92.同時に死亡した場合の相続関係
93.準正とは
94.再転相続とは
95.相続財産管理人とは
96.遺留分減殺請求権の行使
97.戸籍と住民票の保管期限
98.相続分の譲渡とは
99.いらない土地を相続放棄できるか
≫実家を亡父親から母親名義に変更する相続登記
≫亡くなった母親から長女へ名義変更をする
≫公正証書遺言が残されていた場合の相続登記
≫5年前に亡くなった父親の相続登記
≫亡くなった兄から名義変更する相続登記
≫田舎にある実家の相続登記
≫父親が残した自筆証書遺言での相続登記
≫亡くなった叔父の自宅の相続登記
≫未成年者が相続人にいるケースの相続登記
≫地主だった父親名義の不動産を相続登記
≫相続した未登記建物の名義変更
≫代位による相続登記後に遺産分割した相続登記
≫母親と父親が順に亡くなった場合の相続登記
≫一部の相続人が相続放棄した場合の相続登記
≫相続した対象不動産がよくわからない相続登記
≫家裁で検認した遺言書を使わずに相続登記
≫売却の前提としての相続登記
≫登記済権利証が見つからない場合の相続登記
≫自宅と原野の相続登記
≫孤独死で亡くなった叔父の自宅を相続登記
1.父親名義の実家を母親に変更したい
2.亡くなった母名義のマンションを名義変更したい
3.父から相続した二世帯住宅の名義変更をしたい
4.単独相続した母親のマンションを名義変更
5.兄から相続した遠方の不動産を名義変更したい
6.父と母が順に亡くなった場合の不動産名義変更
7.叔母から代襲相続したマンションの名義変更
8.父がのこした公正証書遺言での不動産名義変更
9.実家と別荘の不動産名義変更をしたい
10.上物(建物)は自分名義のため土地のみ名義変更
11.権利証を紛失した不動産の名義変更
12.売却の前提として至急の不動産名義変更
13.未成年者がいる場合の相続した不動産名義変更
14.相続税申告が絡む不動産名義変更
15.相続人が12人いる場合の不動産名義変更
16.相続人の1人が相続放棄した後の不動産名義変更
17.遺贈により相続人以外が取得したマンションの名義変更
18.対象不動産が不明な場合の相続登記
19.一筆の土地を分けて兄弟がそれぞれ相続する事例
20.複数ある不動産を遺産分割で相続人が分けて名義変更
1.兄弟で相続した不動産を売却して代金を分けたい
2.父親が他界したので実家を売却して姉妹で分割したい
3.兄弟3人が相続した実家を換価分割する
4.遠方の相続人がいる場合に実家を換価分割したい
5.空き家の3000万円控除を使って売却する
6.事故物件となったマンションを売却したい
7.税金滞納で差し押さえられた相続不動産を売却したい
8.相続した地方の実家を換価分割したい
9.相続人が多数いる場合に換価分割するケース
10.スムーズに相続した実家を換価分割したい
11.相続した定期借地上の建物を売却して解決した事例
12.相続した不要な土地と自宅をまとめて売却
13.入居者がいる相続したアパートを売却して換価分割
14.月極駐車場で貸している土地を換価分割
15.自殺があった相続不動産を売却して換価分割
16.不仲な姉妹共有の相続不動産を売却
17.相続放棄を検討していた家を売却
18.孤独死があった家を相続して売却換価
19.公正証書遺言の内容に従って換価分割
20.平等に姉妹で相続した不動産を売却して分割
・司法書士よしだ法務事務所 代表
・行政書士法人よしだ法務事務所 代表
・NPO法人よこはま相続センター 理事
・一般社団法人相続の窓口 事務長
「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
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