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包括遺贈と特定遺贈の違い

2つの遺贈制度について

相続財産は原則として被相続人の相続人に承継されることになります。(関連記事:法定相続人の範囲について
民法という法律では法定相続分の割合が定められており、この割合以外で分割をするのであれば、相続人全員で遺産分割協議を行うことによって自由に相続人間で分割をすることができます。(関連記事:法定相続分の割合
ただし、遺産分割協議はあくまでの相続人間が決めるもので、被相続人の意思ではありません。
自らの相続財産の承継先を決めるためには、生前に遺言で財産の遺贈の方法により受遺者を決めておく必要があります。
そして、この遺贈には、実は包括遺贈と特定遺贈の2つが存在します。

意外に知られることが少ない遺贈の制度について、本ページでは包括遺贈と特定遺贈に分けて解説をしていきたいと思います。

包括遺贈とは

包括遺贈とは、遺産の全部または一部など、「割合を示して」贈与することをいいます。

包括遺贈には2種類あり、遺産を1人の受遺者にすべて贈与することを「全部包括遺贈」(私の財産をすべて妻に与える、など。)、複数の遺贈者に割合を示して贈与することを「割合的包括遺贈」(私の財産を長男と次男に50%ずつ与える、など。)といいます。

全部包括遺贈の場合には、遺産分割協議の必要はなく受遺者がすべての財産を承継します。

割合的包括遺贈の場合には、各財産をどうやって分割するのかは、相続人同士で相続財産を分割する場合と同様に遺産分割協議をおこなう必要があります。受遺者の中に相続人以外の者がいる場合には、その受遺者も一緒に遺産分割協議をおこないます。また、包括遺贈の受遺者は、相続人と同じ権利義務が発生するため、被相続人のマイナスの財産も承継することになる点は注意が必要です。

遺贈の放棄に関して包括遺贈の場合には、家庭裁判所への申述が必要となります。放棄の期限は通常の相続放棄と同じく、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内にしなければなりません。(関連記事:3ヶ月経過後の相続放棄

特定遺贈とは

特定遺贈とは、遺産のうち「特定の財産を示して与える」贈与のことをいいます。

例えば、「長男に不動産を与える」、「妻に預貯金を与える」などと、遺言に記載します。相続財産の特定が明確なために、遺言通りに執行されやすいといわれています。その反面、しっかりと財産の特定がなされていない場合には、執行されにくいということもあります。

被相続人が亡くなり遺言の効力が発生すると特定遺贈がなされることになり、相続財産の所有権は受遺者に移ります。移った財産は遺産分割の対象外となるため、残りの財産について遺産分割協議がなされることになります。また、特定遺贈の場合には、受遺者は、被相続人から財産を承継する権利のみが与えられるため、マイナスの財産を負担する義務はありません。

特定遺贈の放棄をする場合には、本人の自由意思によるものとなります。他の相続人に「遺贈を放棄する」と口頭で告げるだけで構いません。期限もありませんので、被相続人の死亡後であればいつでも放棄することが可能となります。

それぞれのメリット・デメリット

包括遺贈と特定遺贈の違いを、それぞれのメリットとデメリットから比較して見てみましょう。

◆包括遺贈のメリット

・財産の内容に変更があっても大丈夫
包括遺贈は、「財産の割合」を示しているため、遺言者が遺言を書いた時点と相続が開始された時点で財産の内容が変わっていたとしても問題はありません。これは包括遺贈の最大のメリットといえるでしょう。

・分割内容に関しては相続人で決めることができる
ひとつひとつの財産をどのように分割するかは相続人間で協議をおこない決めることができます。

 

◆包括遺贈のデメリット

・マイナスの財産も相続する
包括遺贈の受遺者は、法定相続人と同様の権利義務が発生するため、プラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も相続することになります。

・遺贈を放棄する場合には期限がある

法定相続人が相続放棄をする場合と同様に、包括遺贈の放棄にも期限があります。相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内です。

 

◆特定遺贈のメリット

・マイナスの財産を相続する必要がない
特定遺贈の場合、借金などのマイナスの財産を相続する必要はありません。遺言で指定された財産だけを引き継ぎます。

・遺贈の放棄に期限がない
特定遺贈を放棄する場合、包括遺贈のような期限があるわけではありません。いつ放棄するかは受遺者の自由です。放棄する場合は、相続人に口頭で言うだけで大丈夫です。

 

◆特定遺贈のデメリット

・財産の内容に変更があった場合に対応ができない
財産を明確に特定して遺贈をおこなうため、遺言者が遺言を書いた時点からその財産の内容が変わっている場合には、問題が起きる可能性があります。例えば、遺言者が当時、公平に遺贈したいという思いから「長男には3,000万円の土地」を、「次男には3,000万円の建物」を遺贈する旨を遺言に書いたが、相続開始当時には土地が5,000万円、建物が2,000万円と価額が変動してしまった場合、公平という観点からは問題が発生してしまいます。

包括遺贈と特定遺贈の選択基準

それぞれのメリットとデメリットは相反している部分が多いです。また、遺言者が包括遺贈と特定遺贈のどちらを選択するべきかの参考としても以下にまとめてみました。

◆包括遺贈の方がよい場合
・将来、財産の内容が変わることが確実な場合
・財産の内容をちゃんと把握していない場合
・具体的な分割内容は相続人同士で決めてもらいたい場合

◆特定遺贈の方がよい場合 
・誰にどの財産を与えるのか具体的に決めたい場合
・受遺者にマイナスの財産(借金など)を負わせたくない場合

一般的には、遺言の内容が特定遺贈になる傾向が多いですが、両方の違い、メリットとデメリットをしっかりとおさえて遺贈をおこなうことで、相続開始後のトラブルを防ぐことができるでしょう。

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・司法書士よしだ法務事務所 代表
​・行政書士法人よしだ法務事務所 代表
・NPO法人よこはま相続センター 理事
・一般社団法人相続の窓口 事務長

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数

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