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相続による不動産名義変更に期限は存在するのか

相続登記に期限はあるのか?

相続手続きには時間的な制限があるものがいくつかあります。
相続の中で期間制限がある手続きといえば相続放棄3ヵ月、準確定申告4ヵ月、相続税申告10ヶ月がわかりやすいと思います。
これらにはそれぞれ期間制限が決められている以上、その期間を過ぎると何らかのペナルティーを受けることになります(例えば相続放棄なら3ヵ月以内でないと原則として家庭裁判所に受理してもらえなくなる)。

ここでは、相続手続きの中で大変で複雑な相続による不動産名義変更について期限があるのかを解説していきたいと思います。(関連記事:自分でやる相続登記

不動産名義変更には期限が存在しない

不動産名義変更には期限はありません。たとえ放置していたとしても、罰則もお咎めもありません。他人から強制されることもありません。
例えば10年前に父が亡くなり不動産の名義が被相続人のままであっても、今から不動産名義変更をすることは可能ですし、登記をしたからといって何らの罰を受けることもありません。なぜなら、不動産名義変更は権利登記と呼ばれていて、義務ではないからです。
義務ではない以上、自分の好きなタイミングで登記をすればいいわけですから、当然期間的な制限は存在しません。(期間的な制限があれば事実上義務を課していることになってしまう)
(関連記事:
相続登記は義務ではない

期限がないにも関わらずなぜ不動産名義変更をするのか

不動産を所有する人が亡くなれば、相続人は不動産名義変更をしようと考えます。それは、なぜでしょうか。
それは期限云々は関係なく、相続手続きを進める中で不動産名義変更をしているものと思われます。
私が司法書士として相続登記実務を行う中でよく受ける質問で「相続登記っていつまでにしておかなければいけないとかありますか?」というものがあります。
これは、本当によく聞かれます。前述したとおり、不動産名義変更は権利登記ですから、期限は存在しません。
しかし、私はこう答えます。
「相続登記には期限はありません。ですが、相続登記をしておかないと自分が権利者であることが主張できませんし、もし現在の相続人が亡くなれば相続人が増えて相続登記が困難になります。ですから、やろうと考えた(司法書士へ相談した)今の段階でするのがベストです。」

期限がないにせよ、やろうと考えた時にやっておかなければ、不動産名義変更をしないまま被相続人名義の不動産として登記簿に載ったままになってしまいます。
期限がない手続きだからこそ、やろうと考えた時こそがやるべきタイミングなのです。

期限が存在しなくても不動産名義変更は絶対にやっておくべき

期限が存在しないにせよ、相続が発生したらなるべく早めに不動産名義変更はやっておいた方が良いです。気持ち的にも安心するでしょうし、放置したことによってその後のトラブルなどに巻き込まれるリスクも減るはずです。また、早めに済ませることで費用も最小限に抑えることができます。
一度、不動産名義変更の機会を失うと、期限がないことにより面倒になってしまい、ズルズル放置してしまいがちです。そして気づいた時には手に負えない状況になっているなんてことも十分あり得えます。
このように、不動産名義変更自体には期限はありませんが、自らの権利を主張するためには絶対にやっておくべきことになります。(関連記事:
登記をする意味は第三者対抗要件?

相続手続きの中でどのタイミングで不動産名義変更をするのがいいのか

不動産名義変更については期限が存在しませんが、相続手続きの中には期限が定められているものがあります。期限があるものを優先的にすべきなので、不動産名義変更は相続手続きの中でいえば最後の方にまわしてしまってもいいかもしれません。
よくあるのは、相続税申告が10ヶ月なので、それを中心に考える方法です。
(関連記事:相続税の申告方法

相続税申告のためには、遺産分割をしなければいけません。(関連記事:未分割の相続税申告
遺産分割をするためには相続財産を把握しなければいけないので、銀行をまわって各金融機関から残高証明書を請求する必要があります。(関連記事:相続に必要な残高証明書
しかし、残高証明書を請求するためには、預金口座の名義人が死亡をしたことと窓口へ行った人が相続人であることを証明しなければいけませんので、先に戸籍謄本を集めなければいけないことになります。(関連記事:遠方の戸籍謄本の取り寄せ方法

この流れで言うと、戸籍謄本を集めて、銀行をまわって残高証明書を集めて、相続人全員で遺産分割をして、そこから相続税申告をすることになります。
この順を辿っていただければ、必然的に不動産名義変更に必要な書類の準備ができることになりますので、結論としては相続税申告の手前のタイミングで不動産名義変更をするのがいいかと思います。

もし仮に相続税申告が必要ない方であれば、不動産名義変更は遺産分割をした後でないとできませんから一番最後にしていただければ問題ありません。(関連記事:期限付きの相続手続きまとめ
 

【相続登記の関連記事】
相続による不動産名義変更に期限は存在するのか
相続発生後に不動産名義変更を放置するデメリット①
相続発生後に不動産名義変更を放置するデメリット②
相続による所有権移転登記の申請書の見本
法定相続分での相続登記
遺産分割による相続登記
遺言による相続登記

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この記事の監修者

司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所 代表 吉田隼哉

開業当初より、相続の分野を専門として業務を行う。
得意分野は「不動産を含む相続手続き」。テレビ「NHKクローズアップ現代」や雑誌プレジデント・AERA等の執筆、メディア実績多数。情報番組での空き家問題の取材実績あり。


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司法書士・行政書士 吉田隼哉

・司法書士よしだ法務事務所 代表
​・行政書士法人よしだ法務事務所 代表
・NPO法人よこはま相続センター 理事
・一般社団法人相続の窓口 事務長

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数

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