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相続登記の後に遺言書が見つかったら

後日遺言書が見つかった場合の取り扱い

相続人は遺言書の存在を常に知っているとは限りません。故人が誰にも話をすることなく遺言を書いた場合には、発見されない限りはその遺言の存在を知りえないからです。
また、平成元年以降に作られた公正証書遺言であれば公証役場の検索システムを利用して探すことが可能ですが、それ以前に作られたものだと公正証書であっても見つけるのは困難です。当然、自筆証書の遺言の場合には、どこにしまったのか故人が家族や親族へ伝えていなかった場合には、時間が経過してから発見されることもそう少ないことではありません。
相続登記の後に遺言書が発見された場合の取り扱い方法について解説していきます。

法定相続分での相続登記後に遺言書が発見されたら

法定相続分での相続登記がなされた後に遺言書が見つかったケースでは、以下の登記先例が参考になると思います。

関連する登記先例

被相続人からABCの3人へ相続登記がなされた後に、「甲土地はAに単独で相続させる」旨の被相続人の遺言書が発見された場合、Aの単有名義とする所有権の更正登記を申請する。(平成2.1.20-156)

この登記先例では、遺言書の存在によって、被相続人の死亡時点において、A単独名義であったはずなのに、間違ってABCへ相続登記がなされてしまったと考えています。つまり、錯誤によりABCの共有名義からAへの更正登記を申請することになります。
更正登記は普通の登記申請と基本的に違いはありませんが、手直しの登記という意味合いでいえば手続き的に異なる部分も存在します。一般的な登記申請書については、法務省HPや他のサイトで掲載されていることがありますが、所有権更正登記はほとんど見当たりませんでしたので、当サイトにて提供します。
(関連記事:錯誤・更正登記とは

所有権更正登記の登記申請書の見本

登記申請書の事例

被相続人甲野太郎の相続人が子供三人(一郎、二郎、三郎)である場合において、三人が各3分の1の共有名義で相続登記を申請した後に、「甲不動産は一郎に単独で相続させる」旨の甲野太郎の公正証書遺言が発見された場合の所有権更正登記。

登  記  申  請  書

 

登記の目的  ○番所有権更正

原   因  錯誤

更正後の事項 所有者 横浜市西区山下町一丁目2番3号 甲野一郎

権 利 者  横浜市西区山下町一丁目2番3号 甲野一郎

義 務 者  横浜市中区本町三丁目20番1号 甲野二郎
       横浜市港南区南町二丁目3番4号 甲野三郎

添付書類
登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 代理権限証書   


平成30年3月20日申請 横浜地方法務局 ○○出張所

代 理 人  横浜市南区南町1番地 
      司法書士 法務太郎 
電話番号045-123-4567

登録免許税  金1000円

不動産の表示

~省略~

 

登記の目的は「○番所有権更正」として、手直ししたい登記の順位番号を記載してください。
原因は「錯誤」として、権利を奪われる相続人を義務者、権利が増える相続人を権利者とします。
更正後の事項には、遺言書で不動産を相続することとなった相続人の名前を記載します。
添付書面として、登記原因証明情報(発見した遺言書)、登記識別情報通知(相続登記時に発行された二郎、三郎のもの)、印鑑証明書(二郎、三郎のもの)、代理権限証書(司法書士へ委任する場合)といったものを添付します。
登録免許税は不動産一個につき金1000円です。

相続手続き後の遺言書発見はなるべく避けるべき

遺言書があった場合、被相続人が死亡した時点で当該遺言書の内容で相続人へ財産が承継されることになります。つまり、相続手続きを進めている最中に遺言が見つかってしまうと、相続手続きを一旦止めて、方針を決め直さなければいけません。また、もし相続手続きが完了した後に遺言書が発見されてしまうと非常に厄介です。各相続人は、既に承継した財産を使ってしまっている可能性がありますし、やり直しをすることができない状況にある場合だって考えられます。さらに、相続人以外の名前が遺言書に書かれていた場合、その人に対しても相続権が及ぶことになります。これらは、遺言の存在を相続人が知っていたか否かに関わりません。
遺言書の内容は、相続手続きを進めるうえで一番最初に知っておかなければいけませんので、相続手続きの最も初期段階で遺言書の調査を行うことが賢明だと考えられます。

それぞれの家庭環境や事情などによって簡単に言えることではありませんが、できることなら生前から家族や親族で相続財産の話をしっかりとしておき、遺言書の存在も事前に把握しておくことをお勧めします。言い出しにくいことかもしれませんが、相続のこと、しっかりと親族間で話し合って、なるべくクリアな状態にしておくことが揉めない相続の第一歩と言えるのかもしれません。
なお、後日発見する場合ではなく当初から遺言を見つけた場合の相続登記についてはこちらの記事が参考になると思います。≫
遺言による相続登記

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司法書士・行政書士 吉田隼哉

・司法書士よしだ法務事務所 代表
​・行政書士法人よしだ法務事務所 代表
・NPO法人よこはま相続センター 理事
・一般社団法人相続の窓口 事務長

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数

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